■ 対談メンバー

・小西 一星 様(左)
 ハイパス株式会社 代表取締役、SEMカフェ主宰、AdWordsトップレベルユーザー
・高井 康辰(中央左)
 株式会社テクロコ エンジニア
・鳴海 拓也 様(中央右)
 クロスシナジー株式会社 代表取締役、SEMカフェ主催メンバー、AdWordsトップレベルユーザー
・佐藤 裕紀 様(右)
 サイバーホルン株式会社 代表取締役、SEMカフェ主催メンバー

■ 対談(前編)

ー はじめに

テクロコ:本日はリスティング広告のプロフェッショナルであるお三方と弊社エンジニアを交えてのセッションということで、ツールが存在しなかった時代から現在に至るまでにどのような問題が発生し、どのように解決していったのかをお話頂きたいと思います。
ちなみに、弊社の高井はテクロコに入社する前、小西さんや佐藤さん、鳴海さんとは面識があり、実際にお仕事をされていたこともあるということで、当時の話も交えながら色々とお話を伺うことが出来ればと思います。

それでは、よろしくお願い致します。

一同:よろしくお願いします。

手作業アカウント管理時代|手作業による苦労と問題点

数値をExcelに落として集計する作業だけで毎日の業務を圧迫

ー いわゆる手作業でアカウント管理をされていた時代にどのような手段で業務を行い、どのような点で困っていたか教えて下さい。

小西:僕は毎日管理画面にログインをして金額などの情報を日次表(Excel)に手作業で数値情報をまとめていました。鳴海さんはどうでしたか?

鳴海:同様に手作業で、特に私は少額案件が多かったので、数値を書き写すだけで毎日1時間~2時間を掛かっていましたね。

小西:AdWordsはクライアントセンターを使えば一発でダウンロードが出来るけど、Yahoo!はスポンサードサーチ、YDNのアカウント毎にログインをしてCSVをダウンロードする必要があったので大変でしたね。

一同:うんうん。その通り(笑)

小西:とんでもなく忙しい日は、Yahoo!の数値状況は確認が出来ずに Google のみという日も正直ありましたね。あと、大変だったのが、一つのアカウントの中に予算管理単位が複数あるケースですね。
具体的には特定キーワードは別予算という指示がある場合などで、キャンペーンを分けて管理していました。

鳴海:同じようなケースで人材会社系や不動産系は、地域によって予算が分けられるケースがあります。これを手作業ベースで集計するのは特に大変ですね。

佐藤:私はそのようなケースだと、CSVで落としてきたデータに特定の文字列で記号を付けて再集計するなどを行っていました。やはり集計作業分が二度手間になるので大変でしたね。

小西:僕はキャンペーンの文字列を使って、うまく集計できるようなルールを設けていましたが、例えば「東京都」で集計するキャンペーンルールを作ってみたら「京都」も対象となってしまうこともあり、日々ルールを試行錯誤していましたね。

小西:ちなみに現在も、まだまだ手作業の方が多いような印象を受けます。と言いますのも、以前SEMカフェの参加者の方にツールの利用状況を聞いてみたところ、大半の方がツールを使わずに、CSVをダウンロードして、Excelに貼り付けて作業するという方法を取っており、希に管理画面の情報のみを見て判断されるという方がいらっしゃいました。小さい代理店だと、パートの方を雇ってそのような作業を割り振っているところもあるようですね。

離職率が高まれば新規採用コスト、教育コストが事業PLを圧迫

鳴海:私が過去に在籍していた大手代理店ではコンサルとオペレーションの方で役割が分かれており、コンサルと同じくらいの人数のオペレーション担当がいましたね。ちなみにその役割をやられている方は離職率も高いイメージがありました。やはり単純作業ばかりを続けているとちょっと飽きちゃいますよね。

小西:この業界の転職率が高いのも、こういった作業が多く発生するという点が恐らく影響していますよね。

テクロコ:オペレーション担当の方が辞めてしまうことで、新たな担当を採用するためにコストが掛かり、更に教育のためにコストが掛かりますよね。この一連に掛かるコストは直接的には見えにくいですが、かなりの金額感になります。
一方、ツールであれば、そのようなコストが発生する心配もなく業務を進めることが出来ます。このような点はツールを使っていく大きなメリットだと考えます。

現状把握が出来なければ攻めの運用は出来ない

ー 現状把握のために、かなりの工数を割いていたとのことですが、その作業はやはり重要なのでしょうか?

小西:現状把握をスピーディに出来ないと、攻めることが出来ないんですよね。あとどれくらい使えるのか?どこにコストを投下すべきなのか?これが分からないと、適切な施策も打てないですし。
一方でその現状把握のための保守・運用にリソースを割きすぎていると、新しいことへのチャレンジも出来なくなります。現に現状把握に手が回っていない方のお話を聞くと、数日に1回程度のチェックになってしまっていたり、チェックだけでその日が終わってしまったりして、結果として効果がついてこなくなるということもしばしばあるようでした。
ですので、この現状把握を如何にスピーディに行えるかがリスティング広告運用者にとっては非常に重要なわけです。

CSVアップロード型ツールによる管理時代|CSV型ツールの開発と問題点

小西:そのような中でまだテクロコにジョインする前の高井さんに、CSVをインポートして予算進捗管理が出来るツールの開発について相談させてもらった訳ですが、高井さんはどう感じましたか?

高井:リスティング広告は、単純にキーワード広告をオークション形式で買うものだと思っていたので、お客さんの予算を管理するという概念がありませんでしたね。
また、詳しく話を聞いてみた時に、レポート機能だけでは事足りず、手作業で集計しているという話を聞いて正直驚きました。僕だったら、きっと心が折れてしまうと思いました(笑)

小西:そのツールを作ってもらうにあたって、リスティング広告の細かな運用に関する業務内容をお伝えしました。自分の伝え方のスキルの問題もありますが、それまで、普通のエンジニアさんだと10のことを伝えるためには、30くらいまでを伝えないと伝わらないと思っていたのですが、高井さんは業務の目的や背景を理解しようとしてくれた上で、5を伝えると8や9を先回りして機能の提案を行ってくれましたが、そのアウトプットが見事に芯を得ていた機能だったりするので、諸々の対応に感激していました。

ー そのツールはどのようなところが良かったですか?

鳴海:そのツールを実際に使ってみて、予算進捗を行なう上でのキャンペーン集計などがとても便利になりましたね。

佐藤:私は元々リスティング広告代理店に居たことがなく、最初から個人で運用代行を行っていたため、手作業で集計することが当たり前だと思っていました。ですので、このツールを初めて使った時は衝撃でしたね。

小西:過去にExcel+VBAを組んでCSVを加工する仕組みを作ってみたことがありましたが、計算処理にとても時間が掛かっていました。
また、媒体側の指標名がコロコロ変わるため、それに対応しないとすぐにうまく動かなくなってしまうことが多々ありました。他にもCSVのデータ形式も最初のデータが1行目になったり、3行目になったりと仕様が変わるため、いい加減嫌になっていましたが、それらから開放されたことが良かったです。
結果として、CSVをアップロードするだけで欲しい情報が集計・計算された形のものをブラウザで確認することが出来ましたのでとても重宝していました。

鳴海:そうですね。私もそういった仕組みを構築していましたが、Excelで色々な計算処理をしているとパソコンが一切使えなくなる点は困っていましたね。

小西:うちは計算のためのパソコンがありましたね(笑)

テクロコ:やはりエンジニアでない人が作る仕組みには限界があるのですね。

小西:実は当時にこのCSVアップロード型のツールを有料で展開することも考えていましたが、CSVをアップロードするルールが複雑すぎて、マニュアル化することが非常に困難だと感じました。そもそもツールの使い方以前に、予算管理や毎日の状況確認の考え方からとか方法とか自体をマニュアル化しないといけないのだろうとも思いまして。

佐藤:実際に手作業のプロセスを知らないと、正直使いこなすのが難しいですよね。

高井:CSVの処理で苦労したのは、思った以上にCSVファイルの種類が沢山あったので、その処理には色々と工夫が必要でしたね。
あとはExcelを作るという処理がサーバーの容量を結構食うんですよね。私もツールの有料化を考えたりしましたが、諸々の仕組みを構築していく上で、やっぱりAPIがないと有料ツールとして展開するのは厳しいなという感覚を持っていました。

 

後編へ続く